新民法について(8)【代理】
1.代理とは
代理とは、本人の代理権を有する者が、代理人として法律行為を行うことです。当該法律行為の効果は、代理人ではなく、本人に帰属します(改正後民法第99条1項)。
2.復代理人を選任した任意代理人の責任について
復代理人とは、代理人から選任された代理人のことです。
改正前民法では、復代理人を選任した任意代理人(親権者や成年後見人など法律上の代理人以外の代理人)は、復代理人の選任、監督に関する責任を負うにすぎず、責任が軽減されていました。もっとも、任意代理人が、復代理を選任する方法ではない方法で第三者を使用する場合にはその責任は軽減されておらず、復代理人選任の場合との均衡がとれていませんでした。
そこで、今回の改正では、復代理人を選任した任意代理人の責任は、債務不履行責任の一般原則に従うとしました(改正後民法第105条)。
3.利益相反行為について
利益相反行為とは、代理人にとっては利益となり、本人にとっては不利益となる行為のことです。利益が相反するか否かは、代理行為自体を客観的に検討して判断します。
今回の改正では、自己契約(自分が当事者となる契約の相手方の代理人となり、契約すること)及び双方代理(双方の当事者の代理人となり契約すること)について、その効果は無権代理行為とみなされることを明確化しました(改正後民法第108条)。また、これら以外の利益相反行為についても、本人の事前の許諾があった場合を除き、無権代理行為とみなすとしました(同条2項)。
4.経過措置
改正前民法が適用されるか、改正後民法が適用されるかは、代理権の発生時点(代理権が授与がされた時点)が基準となります(附則7条1項)。つまり、代理権の授与が2020年4月1日以降にされた場合には、改正後民法が適用されます。
無権代理の場合には、代理権の授与がありませんので、無権代理行為の行われた時点が基準となります。無権代理行為が2020年4月1日以降に行われた場合には、改正後民法が適用されます。
(文責:横山愛聖)